旅するコーチのblog

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旅人であること 旅人でなくなること

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旅の終わり。

1週間前に盗難にあいました。
家族や様々なカタチで支えてくれる人のおかげで、平穏を取り戻しています。
ただ、このことが自分にとってどんな意味があるのか、考えていました。

 

盗難にあった朝、盗られてしまったことのショックと驚き、怒りと悔しさがまずはこみあげました。
しばらくしてもう荷物は取り返せないと諦めると、今度は旅が終わるかもしれないという「怖さ」がやってきました。
旅が終わるかもしれない、を意識した瞬間にやってきた怖さの感覚はとても大きなもので自分でも驚くほどでした。

「旅が終わる、それは嫌だ。」

冷静に考えたら、たとえ一時的に何かを失ってもまた準備をして出直したらいいだけだし、パスポートの再発行もクレジットカードの再発行もできることを知っているのに、「旅が終わるかもしれない」ということに触れることが、とにかくこわかったのです。

何がそんなに怖かったのか、コーチといっしょに対話を重ねて気づいていったのは、ぼく自身が旅人でなくなることに、とても怖さを感じているということでした。

今や、旅人というのは僕のひとつのアイデンティティになっていて、旅をしている時の自分は、とても楽で、自由で、自然体で時間の流れさえ変わっているように感じています。
しかも、旅人という肩書?アイデンティティ?はとても便利で、周りの人とのコミュニケーションでも非常に役にたちます。

これから何をするの?

1年後はどうしてるの?

そんな質問をされた時も、その時にどこにいるかも何をしているかもわからないよ。と答えると、ああ、旅人だからねと、相手も納得してくれたりするのです。

自分に対しても、旅人は自由だからと言い聞かせ、責任を負う事、何かを引き受けることから巧みに自分を逃していることもありました。
盗難にあい、旅人でなくなるかもしれないという怖さを体験したことで、どれだけ自分が旅人というアイデンティティによりかかっているかも改めて自覚しました。

 

今の日常、次の日常

元々、日本にいた時は「旅がしたい。旅がしたい」と言ってばかりで、なかなか旅立てない時期があり、「まずは旅立たないと次の人生は、始まらないな」と、旅立つことにして、いざ旅に出て、一年東南アジアをゆっくりとまわって日本に帰り、再出発をした1週間後にパスポートからクレジットカードまで、大事なものは全部なくすという体験をし、自分が旅人であるということをなくすことをめちゃめちゃ恐れている自分がいたことを知りました。

旅の期限も決めていなかったので、旅の終わりってどんな終わり方をするんだろうと自分もよくわからなかったのですが、今回のことでなんとなくそのヒントが見つかった気がします。

旅人という肩書、アイデンティティがなくても、自分という人間が自然に無理なく大丈夫だと思えた時、旅を続ける必要がなくなるんじゃないかなと思います。
これはなかなか人に説明するのは難しいのですが、自分の中での一皮むけるプロセスなんだと思います。

自分がやりたかったことに挑戦し、旅が日常になり、旅人が居心地よくなってきている今ですが、旅を終えることが怖くなくなる時、次の日常が始まるような気がしています。

なんだか大きな出来事でしたが、自分が人生という旅の中でも、今どんなところにいるのかを知るきっかけになる機会となりました。

旅を終えるときは、突然やってくるかもしれないし、何年か先になるかもしれませんが、その時まで悔いのないように、この人生をめいいっぱい生きたいと思います。

今はスペインのマドリッドですが、今夜の飛行機で次の場所、ペルーに向かいます。
初の南米、治安がこれまで以上によくないと聞くので、気をつけて行動をしたいと思います。

写真は、マドリッドでホームステイしているダニーとマルコ。
会ったこともない僕を友達からの紹介で4日間もお世話になりました。