旅するコーチのblog

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受難

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いろんなモノなくしました

バルセロナで、盗難にあいました。

「ええ、大丈夫?」
と必ず聞かれるので、先に大丈夫と伝えておきます(笑)

もうかれこれ5日も前のことですが、スリや置き引きが多いと治安の悪さで有名なバルセロナのバスターミナルで貴重品を入れたサブバックを盗まれました。

半年前は、タイで現金をバスの中の荷物から抜かれたばかりだというのに、なんとも情けないことです。
パスポート、クレジットカード、キャッシュカード、カメラ、パソコン、Kindle、レインジャケット、ノートと大事なものだから失くしたくないと思っていたものばかりをなくしました(泣)

盗られたことがわかった時は、パニックで、怒りと悔しさがこみ上げてきたのですが、すぐに情けさや悲しさ、
「なんで、荷物を盗まれるようなドジなことをしたんだ」という感情と同時に
「パスポートは再発行できるけど、クレジットカードがないと、旅が続けられない」ということが頭に思い浮かびました。

それはそれは怖いもののように感じました。

瞬間的に「まだ旅を終えたくない」そんな自分の思いに触れました。

ブルーな一日

冷静に考えれば、諸々の準備をし直したり一度日本に帰って整えることもひとつの選択肢なはずなのに、あの時に、どうしてそこまでの強烈な感覚に触れたのかわかりませんが、とにかく旅を続けたいという想いに触れました。

日本での日常がそんなに嫌だったのか(笑)、旅をしている自分を手放したくないのか、どこかでこの旅がラストチャンスのような気持ちで旅に出ているのか、今でもまだはっきりと自分でつかめていないのですが、とにかくヤダ、という感覚があらわれました。

その日に、マドリッドに移動して友達に紹介してもらった人の家にホームステイする予定だったり、次の日に飛行機でペルーに行く予定だったりが全て白紙になりました。
パスポート再発行までバルセロナを離れられないし、場合によったらクレジットカードが届くまで数週間足どめかも、といろんな妄想が繰り広げられました。

今は落ち着きましたが、その日は気分も落ち込むし、領事館やらvisaカード、Masterカードやら、いろんなところに連絡して、もちろん警察にも行ってポリスレポートを書いてもらったりして、ひどく長い1日を過ごしました。

幸い、命に別状はないし、身体は疲れぐらいで、怪我も病気もしていないのですが、精神的なショックは相当でした。

見守ってくれる人がいることの温かさ

今思えばそのショックとストレスは自分で創り出しているということもわかるのですが、その時はただ現実を受け止めるのに時間が必要でした。
いろんな問い合わせをして現実的なことを、ひとつひとつ進めていくことで、どうやらクレジットカードの再発行や、緊急カードが発行できること、日本からの海外送金を受け取ることができることなどがわかって少しずつ前に進み始めました。
日本にいる家族に書類を送ってもらったり、海外送金をしてもらったりと大変助かりました。
迷惑かけてしまって悪かったなと思う反面、頼りになるのは家族なんだなと感謝がわき起こりました。ほんとに感謝です。

そして、動揺してる僕の話を聞いてくれた友達が、何か役にたてることはないかと、みんなが助けようとしてくれたこと、まだ会ったこともない人まで、何かできることはないかと友達を紹介してくれたり、泊まるところを探してくれたりと、大きなサポートをくれました。
具体的に何かをしてもらえることもありがたいですが、役にたてることがあったら何でも言ってと、見守ってくれる人がいることの支えというのは、とっても温かくてとても安心につながることを感じました。
アタマでわかるレベルとは違う身体で安心を体感したように思います。


ふと、今思ったのですがお金で買えるものはなくしても一時的なショックなのかもしれません。
お金で買えないものを失った時のショックは癒やされるのに時間が必要だし、その悲しさや痛みを引きずります。

こんなことを言うと家族に怒られそうですがモノをなくすことは、それほど大きなことではないのかもしれません。。


人との別れ、病気や事故による死別、離婚、流産、家庭内別居、家族との仲違い、うつや過労で希望を失ってしまうことのほうが、よっぽど大変で、しかも、周りからは見えにくく、本人も言えないから余計に辛いなと思いました。
苦しさやしあわせは比較ではないと思うのですが、盗難に合うっていうのはわかりやすく大変だけど、みんな人には言えない大変さを抱えているよなーと思いました。


今回はいろんな人のお世話のなり、助けてもらいました。本当に感謝です。
この頂いたご恩を返します、とこれまでは言っていましたが、自己犠牲から誰かの役にたとうとすることをやめようと思うので、大切にこのご恩を受け取りたいと思います。
そして、自分が喜びから誰かの役にたてることがあれば、無理なくできる限りのヘルプをしたいと思います。

写真は朝焼けに照らされるサグラダ・ファミリア
受難とはまさにこんなことをいうのでしょうか。